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火星有人飛行計画

アメリカのブッシュ大統領は2004年1月14日にワシントンのNASA本部で講演を行い、今後の宇宙開発へのビジョンを示した。火星ばかりか、さらにその遠くにまで人間を送り込むという画期的というか野心的な計画を発表した。その為の予算を2005年から2009年までの間で120億ドル(NASAの5年間の総予算は860億ドル)と設定したことも報じられている。アメリカの気合の入れようが伝わってくる。これほどまでに熱心なら少し軍事費などよりもこちらに予算を回せばよいのでは?と率直に感じたりもするのだが、そうは問屋が卸すはずも無い。派手さのあることがブッシュ大統領は好みなのだろうか。その意味では日本の小泉首相と響きあうものを感じているのかもしれない。

さて、火星に行くまでの最大の障壁は「荷物の多さ」なのだという。月に行くのには片道3日ほどだが、火星となると燃料節約軌道を使って約8ヶ月必要だそうだ。更に火星に行ってからすぐに帰還できるわけではなく、長い場合には500日ほどの滞在が必要なのだという。これは火星から地球に戻る際に最良の帰還軌道を確保する為に時期を待つわけだが、それだけ期間が延びれば生命維持に関わる物も多く用意していかねばならないのだ。水や食料、酸素などに加えて火星で使う基地、火星に離着陸するためのロケット、帰還用の宇宙船などが必要だとされている。その合計たるや470トンになると試算されている。並みの重量ではない。これを火星にまで飛ばすというのだから、人間と言うのは恐ろしい生き物である。あきらめるなどという言葉はないのだ。アメリカはかつてアポロ計画において総額250億ドル(当時の為替レートで9兆円)をつぎ込んだ。このアポロ計画で使われたのは「サターンVロケット」だ。104トンの荷物を地球低軌道に乗せたという。その4倍以上の荷物を火星に運ぶのだ。計画そのものが壮大なスケールで行われていることは間違いない。

燃費の問題は避けて通れない

やはりなんといってもエンジンの問題はつきまとう。燃費のよさが重要視されるのも当然である。現在のロケットエンジンはほぼ全てが「化学ロケット」と呼ばれるタイプのものだ。これは、燃料と酸化剤を燃焼させたガスを噴き出すことによって推進するロケットである。これは推力は大きいが燃費が悪い。燃費が悪いということはたくさんの燃料が必要となってしまい、結果的に荷物になる。その為電気的推進システムが検討されているという。太陽電池や原子炉を使って発電した電気的なエネルギーを使ってロケットを推進させるのである。宇宙空間で太陽電池で充電(発電)するという発想には驚かされる。この方法だと確かに燃料は多くなくて済む。但し、推進力を得る為にロケットが通る軌道を的確に確保しなくてはならない。火星に行くまでの最良の軌道を「ホーマン軌道」と呼ぶ。この軌道を使えば一番燃料を使わなくて済むのだ。地球と火星は2年2ヶ月ごとに接近するが、このタイミングで地球の公転方向に飛び出し、そこから太陽をはさんだ反対側まで飛行して火星に到着するのがホーマン軌道である。その距離なんと4億キロ!地球のすぐ隣の惑星に行くのに4億キロである。宇宙はデカイ。復路もホーマン軌道を使うとなれば、火星に500日ほどの滞在が必要となる。こればかりは公転の関係でいかんともしがたい。復路だけは燃料を大量に使うミッションも考えているというが、さてどうなるか。この方法だと火星滞在は30日から40日くらいでよいのだというから、選択には迷うところであろう。

宇宙飛行士の健康確保に課題あり

半年以上も宇宙空間で過ごす人間への配慮は欠かせない。以前からよく聞いていたのは、無重力空間での体内カルシウムの減少である。普段は地球の引力によって人間は地上にひきつけられているわけだが、宇宙空間はそれがない。自然と骨が鍛えられるということがないのだ。その為に、ばねなどを使った機器でトレーニングをしなくてはならないのだ。重力があるということは、それだけで随分と生物は鍛えられているのだなと感じる。宇宙酔いなどは時間をかけることで解消するのであろうが、はじめの間は大変だと聞いている。
課題はまだある。一人の人間が吐き出す二酸化炭素の量は、1日あたり約1キログラムだという。二酸化炭素は、空気中の5%を超えると息切れや頭痛がおき、10%を超えると呼吸困難やめまい、吐き気をもよおし、25%を超えると痙攣を起こして昏睡状態におちいるという。宇宙船から二酸化炭素の除去は必須課題なのだ。現在のスペースシャトルでは、二酸化炭素と結合力の強い水酸化リチウムという物質を使った装置によって、空気中から二酸化炭素を取り除いているが、この方法では荷物が増えてしまう。こんな荷物にすら気を使わねばならないのだ。また、人間は汗や尿として1日に約3.3キログラムの水を排出し、便などとして約200グラムの固体排泄物を出すという。尿は船外に廃棄し、便などの固形のゴミは地球に持ち帰っているのだ。そこで、できるだけ荷物を減らすために考えられているのが「閉鎖生態系生命維持システム」である。平たく言えば、人間が吐いた二酸化炭素を植物に吸わせ、排泄物を養分にして植物を育てるのだ。そして育てた植物をまた人間が食料にする。このリサイクルのことだ。現在、宇宙空間で植物がきちんと育つかどうかがシュミュレートされているとのことである。自分の排泄物が養分に…。悪い話ではないがあまり想像したくはない。ところで無重力空間のトイレというのは面白い。地球で言う「掃除機」みたいなものらしい。「吸い込む」のだ。そうじゃないと宇宙船内にフワフワと…(笑)

まだまだ仮定が多い話だが、実現はそう遠くないとも…。

火星着陸・船外活動・地球帰還へのシュミレートも進んでいるが、ここでは割愛する。火星における動きはまだまだ仮定の話しが多いからだ。ただ、今言えるのはブッシュ大統領の政策通りに事が運べば、2015年、遅くとも2020年までには月に人間を送り込む算段を立てているということだ。火星の前にもう一度月に人類を送り込むという。壮行試合みたいな考え方だろうか。宇宙開発は過去のようなソ連との冷戦の狭間の企画ではなくなったことは確かである。しかし、ただ「興味がある」という発想だけで他の惑星に行くというのはいかがなものだろうか。テラフォーミングの計画もある。人類が地球で行ってきたような横暴な活動をしないと保障できるであろうか。火星から地球への帰還時に、火星の資源を調達してエネルギー確保をする計画もあるのだ。そうした倫理・道徳的事項も国際的に定めておくべきなのかもしれない。人間が関わる以上は何があってもおかしくはない。テラフォーミングの発想を持ってしまっている以上は、そうした人類の動きにも注視していかねばならないだろう。いずれにしろ着々と火星有人飛行計画は進んでいる。現在の科学技術の進歩の度合いからいって、そう実現までは遠くないと思われる。夢と期待を持って今後の動静を見守っていきたいと思う。
| 天文 | 02:46 | comments(2) | trackbacks(0) |

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Comment
火星有人飛行については、これまでもいろいろな案が出されていましたが、なかなか進展しませんでしたね(主な原因は資金面だったりしますが)。
酸素や食料の調達にはバイオスフィアの利用。長期の宇宙飛行のためにはイオンエンジンを使うといった方法が示されていました。
また、帰りの燃料や、火星の上で恒常的な基地建設のために、無人ロケットを火星に向けてとばしておいて、地下にあると思われる水を電気分解するなどして酸素や水素を獲得。十分に火星での準備が整った後、有人ロケットを飛ばすという方法を聞いた覚えがあります。
実際、いちばんの難問は、明士さんが仰るように「宇宙飛行士の体力」ではないでしょうか。人工重力を得るようにしないと、骨からカルシウムが抜けてしまったり、心筋梗塞を起こしやすくなったりという身体の変化をどう抑えるか。
技術面でカバーできない部分について、もう少し考える必要なあるように思います。(^^)
2006/02/21 8:08 AM, from kyao
資金がかかりすぎるんですよね。地球外に費やす金があれば、もっと貧困国を助けなさいよという議論も起きるのは当然です。武器・弾薬にも同じことが言えますね。貧困国からの搾取で武器を作る。これほど人間は愚かな生き物でしたでしょうか。野蛮でしたでしょうか。

火星に行くことで思いつくのは、結局あと50億年後は地球も火星も太陽に飲み込まれちゃうって事です。最終的にはこの太陽系から逃れなくてはならないわけですから、まだまだ人間の構想なんて浅はかなものです。

一日に人間がはく二酸化炭素の量が1リットルとのことですから、地球上では1リットル×64億人の二酸化炭素が生産されているということですよね。何気に巨大な量だなと思います。地球温暖化は「人間の存在そのもの」が原因だったりして…。いろんなものを燃やすし、使うし、作るし、一日1リットルも二酸化炭素をはいているし…。

飛行中の健康問題に関しては幾つか構想はあるようですね。俗っぽく言うと「トレーニングルーム」みたいなものを設置してそこで体を使っていくようですよ。実証的な実験が「宇宙」でしか行えないところがたまにキズですが。地球上で体験できる数十秒の無重力空間では「実験データ」を取ることは無理ですしね…。

生物が海に適したり、川に適したり、山や地上に適するように変容してきた如く、宇宙にも適するようになるのでしょうか。興味深いところではあります。人の可能性の奥深いところを人間自身が知らないわけですから、可能性がないとは言えないのかもしれませんね。


2006/02/22 3:01 AM, from Meishi









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