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オオカミクローンはウソ?

 韓国ソウル大の李柄千教授らの研究チームがチョウセンオオカミのクローンづくりに成功したとする論文についてデータ捏造(ねつぞう)などの疑惑が持ち上がり、同大は9日、調査に着手したと発表した。研究には、ヒトクローン胚(はい)による胚性幹細胞(ES細胞)研究で論文を捏造、懲戒免職となった黄禹錫元教授も参加していた。聯合ニュースは今回の疑惑で、同大の研究の信頼性がさらに傷つくのは不可避と伝えている。
 オオカミの論文をめぐっては、外部の専門家らにより、クローンの成功率に関するデータや、オオカミと代理母役の犬のDNAを分析した表について、捏造や間違いがある可能性が指摘されている。研究チームは先月26日、2匹の雌の「クローンオオカミ」を公開。動物園で飼育中のオオカミの体細胞を、核を除いた犬の卵子に移植、受精卵を犬の子宮に戻す手法で2005年10月にクローンをつくることに成功したと発表していた。(ソウル共同)
-毎日新聞-

 一体何をやっているのか、困ったものである。ソウル大の威信は著しく損なわれることになろう。現段階では調査中のようだが、限りなく「クロ」に近い報道のされ方だ。クローン技術に対する世界の目は熱い。その期待の大きさがすなわち批判の大きさと見ていいだろう。このような問題は科学の問題ではなく、人間そのものの質の問題であることは明らかだ。科学が進むのは結構なことだが、時に人間の側に信じられない失態が浮き彫りになる。「失態をしない科学」の登場は永久にありえないのか。
| 科学 | 16:54 | comments(2) | trackbacks(1) |

脳内に腹時計

マウスの脳内に、周期的に餌を探す行動をつかさどる「腹時計」が存在することを米テキサス大の柳沢正史教授らが突き止め、31日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。
同様の時計は人にもあるとみられ、食行動とかかわりの深い肥満や、内臓脂肪型肥満に高血圧などが重なる「メタボリック症候群」の治療法開発などにつながる可能性があるという。

マウスは本来夜行性で、昼に眠り、夜に餌を食べる。ところが、昼の決まった時間にだけ餌がある状態に置くと昼夜が逆転、餌の時間の直前に活発に餌を探すようになる。昼夜を刻む通常の体内時計が、腹時計に取って代わられると考えられるが、腹時計が脳のどの部位にあるかは謎だった。
柳沢教授らは、昼夜逆転させたマウスの脳を詳しく調べ、「視床下部背内側核」と呼ばれる部位で、餌の周期に合わせて時計遺伝子が活発に働いていることを突き止めた。マウスを絶食させても遺伝子は餌の時間になると活性化したことから、この部位が餌の時間を覚える腹時計として働いていると判断した。

基本的に生物の行動を決定付ける器官が「脳」であることを疑う者は少ないだろう。こういった「新発見」も予測の範囲内であることはさほど反論はあるまい。ところでメタボリック症候群と言われているが、考えてみると北朝鮮の人民にそういった人間は将軍を除き皆無であろう。食べ物がなくては「メタボリック」も何もない。単純に科学や医学の問題だけではないということが明らかであろう。統計的に見るならば、メタボリック症候群は自己抑制機能に乏しい「資本主義病」とでも言えるかもしれない。果てのない物欲を追いかけることによってはまる一種の病気である。世界では逆に飢餓の危機も散見される。「メタボリック症候群」と「飢餓」は表層的には対照を為しているが、その原因とするところは科学の外の問題であるように思えてくる。どちらも人間が人間らしく健全に生きていくための障害である。ただ言える事は、「メタボリック症候群」の方はより贅沢病に近いということであろう。

今回は科学からのアプローチではない、毛色の違う話になってしまった。
| 科学 | 10:29 | comments(2) | trackbacks(1) |

中国の科学技術者

中国科学技術協会第6回全委員会の周光主席は5月23日に召集された中国科学協会第7回全国代表大会の席上、中国の科学技術従事者が現在2174万人で、このうち研究開発スタッフの総数が120万人で、それぞれ世界第一位と第二位であると述べた。
同氏によると、経済構造の戦略的調整と科学技術システム改革の進行に伴い、才能ある人材のレベルアップが図られ、研究開発スタッフのうち科学者とシステムエンジニアの占める割合が80%に達しているという。人材の年齢構造も改善され、45歳以下の人材が70%を占めており、若い人材が育たないという現象はもはや存在しない。若い人材が科学技術を支える中堅として活躍している。

全く凄まじい数字である。2000万人を超える科学技術従事者とは恐れ入る。日本では人口の六分の一に達している。国土面積は25、6倍違うわけだがそれにしても凄まじい。やはりどのような状況であっても人材が全ての鍵を握る。宇宙開発にも余念のない中国が今後どのような戦略で構想を進めていくのか注目される。
| 科学 | 09:52 | comments(0) | trackbacks(0) |

脳科学の今

遠く宇宙の構造までにも思いを馳せる人類。宇宙の果てのことや、今後の宇宙、過去の宇宙と思索を重ねてきた人類。それらの思考を支えているのは我々にとって身近にある「脳」である。一般に「脳科学」と表現するが、その内奥は宇宙のメカニズムの難解さと相通ずるものがある。宇宙を思考することによって、人間と宇宙との繋がりを無意識に連想させる脳のしくみ。最先端の脳科学の現状はどうなっているのであろうか。

1000億個のネットワーク

我々が所属している銀河系には1000億を超える星が存在しているという。そして人類の脳では、電気信号を伝える機能に特化した細胞である「ニューロン」が1000億個以上も集まって、天文学的な規模の情報社会を作っているようである。人間の脳の重さは成人男性で平均約1400グラム、女性は1250グラムと言われている。その中に1000億個以上ものニューロンが互いに情報を交換している凄さは、人類が譬喩するのが難儀なほど神秘的であるということになろう。そしてニューロン同士を繋ぐ役割(情報伝達)を持つ「シナプス」と呼ばれる部位の数は100兆にものぼるというのだ。まさに「気の遠くなる」というのはこのことであろう。どんな人間でもかならず持っている脳だが、それほどの神秘さと複雑さをもって機能しているなどとは普段は考えていないものだ。しかし、意識しようとしまいと脳がめまぐるしく運動していることは、ちょうど地球の自転・公転に見られるように、否応の無い現実である。

脳はそれぞれ担当する部位が定まっている

現在の脳科学では、かなり詳細に脳のどの部位がどんな役割を持っているかを推測している。詳述は避けるが、思考・眼球運動・運動・触覚・空間位置把握・発語・言語理解・視覚・聴覚等のそれぞれの役割がきちんと脳の部位によって分けられているのである。これは私の実感としてあるのだが、目の手術の時に強烈なレーザーを当てられたことがある。その時に脳の一部だけが連続して痛んだことは忘れられない経験だ。入ってくる光の情報量の多さに、脳の方の処理が追いつかないといったような痛さであった。脳の一部だけが痛いなどという、普段は経験しない痛みだけに冷や汗をかいたものだ。「脳のこの辺りで光を感じているんだな」とはっきり知覚できたのだから、驚いたことは言うまでもない。人間は手を怪我したら、「手が痛い」と感じるである。心臓の痛みや筋肉の痛みも「その部位が痛い」と感じるのである。実はこれらも脳が痛さを判別しているのであろうが、私にとって直接脳が痛いという新鮮な経験をしたことは脳内での「視覚」を担当する部位の存在を意識するのに十分な状況証拠であったのだ。
大脳は左右2個の大脳から成立している。大脳半球の表面に位置する部位を「大脳皮質」と呼ぶ。大脳皮質では数万個のニューロンが束になって、円柱状の構造を作っているという。この円柱は「コラム」と称される。大脳の後頭葉や側頭葉では、視覚情報を認識するために、コラムが一つの機能モジュール(機能単位)として働いていることがわかってきたという。このことはコラム一つ一つの機能を洗い出していくことで、コラム間の相互作用などといったメカニズムに肉薄していくことができるという。

ニューロンの役割

ニューロンは「あるしぐさに必要な触覚ニューロンが集まって機能的な集団をつくっている」という。「握る」という行為をするとニューロンが集結し、「触る」という行為でまた別の場所でニューロンが集結する。これはニューロンそのものがそれぞれ違う役割をもっていると解して差し支えないだろう。人間が処理する万般の感覚は、その数だけニューロンの種類があることを示しているのだろうか。
事故などで手足を失った人の多くが「幻肢」を体験するという。顔を触られると失ったはずの手を触られたように感じたり、失った手足の痛みを訴えたりする現象のことだ。ニューロン回路が変化して顔などから入ってくる触覚刺激が、失った手からの入力を担当していたニューロン回路に侵入して興奮を起こすために生じると考えられている。

記憶とは

視覚や体性感覚などを通じて得た情報は、脳の中に記憶される。それはいうまでもない。では、そのメカニズムはどうなっているのだろうか。ここではニューロン同士を繋ぐシナプスが注目される。マウスの海馬にあるニューロンを調べると、スパイン(信号を受け取る側のニューロンの樹状突起にあるもの)の大きさが数分単位で目まぐるしく変わっている様子が観察できる。強い刺激を受けたシナプスほど、スパインが大きく膨らみ、それに応じて信号が伝わりやすくなることもわかってきた。これは記憶の過程だと考えられている「シナプス可塑性」という現象をシナプス構造の形態的変化として捉えたものである。可塑性とは何かということを粘土を例に考えてみる。
粘土は力を加えればたやすく変形する。そして変形した形をその後保ち続ける。このような性質を「可塑性」と呼ぶ。金属は変形させるのにかなりの力が必要だし、ゴムのような素材は力を抜くと元の形に戻ってしまう。すなわち粘土は与えられた力の経験を「記憶」するといってよい。脳内のシナプスも刺激の強さによってその形を変えるが、それが可塑性によって維持されるのである。それが記憶のはしりとなるのだ。
ちなみに人間の大脳の記憶容量をシナプス数から判断して、デジタル的に相対すると、約10TB(テラバイト)の記憶容量となるようだ。10000GBということになろう。パソコンに搭載されたハードディスクで、現在一般的なのでも100〜200GBくらいであろうか。とてもではないが、それほどの容量と記憶が出来る自信はない。だがどうやら人間の脳は凄いらしいことだけはよくわかる数字である。
記憶のメカニズムがわかってくる段階で期待されるのは、「記憶力アップの薬」の登場だろう。また、記憶を消す薬も開発が進んでいるという。これらは当然記憶のメカニズムが解明される中で確実に登場してくるものであろう。海馬で作られた記憶は、一時的には海馬に保持されるが、最終的には大脳皮質に転送され側頭葉の視覚野や聴覚野など、その情報を最初に処理する領域に貯蔵されるものと考えられている。この転送は、主に睡眠中に行われるという学説がある。で、あるとすれば寝ている間に見ている「夢」はこの記憶の為に海馬から大脳皮質への転送の際に現れているのかもしれない。非常に興味深い考察であろう。
小脳の記憶についても触れておこう。ここの記憶のメカニズムはなかなかに面白いものだ。大脳の海馬の記憶が書き込み方式だとすれば、小脳の記憶方式は消去法によって行われるという。人間の運動にミスが生じると、無駄な運動を導くような小脳のシナプスが回路から消されるというのだ。そして必要な残ったシナプスだけが熟練した動きを実現するという。これはスケートなどをしている人間が、転んだ時に、転んだ際の無駄な動きを記憶から消すということらしいのだ。また、小脳は運動だけではなく思考の熟練も担うという説もある。

社会性を司る脳部位−前頭連合野−

脳の中には人間を人間たらしめている部位がある。それが大脳前頭葉の前側を占める「前頭連合野」である。ここが壊れるとどうなるかという具体的事例がある。1848年、アメリカの工事現場監督だったフィニアス・ゲージ氏は、事故によって前頭連合野の大部分を失ってしまった。火薬の爆発によって吹っ飛んできた鉄棒が脳に刺さったのである。事故後彼は奇跡的に一命をとりとめたが、前頭連合野の大部分を失ってしまった。それでも視覚・運動能力にはほとんど障害がなかったという。しかし、人望の厚かった彼の性格は一変して野蛮になり、将来への計画性を持つことも出来なくなってしまったという。覚せい剤や麻薬の類も前頭連合野の活動に影響を与えて人格を崩壊させるらしい。それくらい、前頭連合野は非常に社会性を保つ上で重要な部位なのだ。人間は社会性をもつことで人間らしさを現出しているといえる。上記のフィニアス・ゲージ氏の例のように、温厚な性格の持ち主が急に粗野になってしまうほどの豹変振りは、人間と他動物を大きく分ける社会性の有無の重要さを改めて認識させられるものだ。
この人間の前頭連合野は大脳皮質全体の3割を占めるという。サルだと12%、ネコだと2〜3%、ネズミにいたっては前頭連合野を持たないというから、人間の社会性は圧倒的である。

今後の脳科学研究の方向

脳の中にはニューロン以外にも「グリア細胞」というものが存在する。これはニューロンの10倍近い数であると言われている。グリア細胞はニューロンのような電気的興奮を起こすのではないという。そのためこれまでの脳科学ではさほど重要視されていなかったのであるが、グリア細胞は化学的興奮を起こすことが知られてきた。ニューロンのネットワークとグリア細胞は互いに情報交換しているというのである。まだまだこの研究は緒についたばかりであるが、脳内のこれほどの多量な情報を維持管理するシステムとしてグリア細胞が注目されていることだけは知っておいてよいであろう。今後の研究の成果が期待される。
アメリカでは1990年から2000年までを「脳研究の10年」と定めた。今後の10年は「治療法研究の10年」になるという。具体的内容としては、痴呆症、アルツハイマー、うつ病、統合失調症などの治療法・新薬の登場が期待できるという。まさにそれが実現するのであれば非常に喜ばしいことである。そういった病が「脳の分野」だけに限定されるものなのかどうか議論の余地があるだろうが、多くの人が苦しんでいる病気に回復の光明が見えたことは素直に喜ぶべきである。脳科学研究の発達は人類にとって非常に大きな価値をもたらしてくれるものであろう。
| 科学 | 02:01 | comments(2) | trackbacks(2) |

科学と宗教の間

一見すると全く相容れない両者に見えるのが科学と宗教であろう。実際は科学的にも不明確な根拠の上に豊かな暮らしを求めて、理想の幾分かを現実にしているのが人類の現状である。その意味で宗教と科学は非常に近似していると言えまいか。よく宗教は「非科学的だ」との声を聞くことがある。では科学は「科学的」かと言えば、決してそうではないだろう。何せ「電子の位置」も人類にはわかっていないのだ。わかっているのは「電子がある」ということだけだ。それで、どこにあるかわからないけれども、そのようなことは無視して効果(現象)だけを見ましょうというのが量子論を唱えたニールス・ボーアの「コペンハーゲン解釈」であったわけである。これのどこが「科学的」だというのだ。この解釈は決め付け(人間の意志)もいいところである。円の面積も分からないのが数学の現状であり、0と1の間にいくつの数があるかも数学ではわからない。宗教も似た性格をもっていよう。科学では「神がいることを証明できないが、いないことも証明できない」のである。その意味で神の存在を科学の観点からのみで論じるのは非常に非科学的であろう。
宗教で言えば人間が幸福になるかどうかは「信念・信仰」に順ずると各宗派は説いている。幸福になるための教義の分析などを徹底して行おうとしても徒労が大きすぎる。百聞は一見に如かずである。まず、やってみなさいということにならざるを得ないかもしれない。丁度、科学で言う電子の位置など何処でもよいというのと似ている。「電子があることにしましょうよ」という解釈は、裏を返せば「そう信じてください」ということにもなろう。科学もその根幹では「信じる力」を必要としているのだ。宗教の「祈り」自体は目に見えることがない。科学と言っても目に見えるようだが、量子の世界や相対論の世界は目になど映らない。人間が「科学的」であると錯覚している類のものは、大概は目に見える現象のみを採用しているのである。映らない分をどうやって「科学」であると人間は認識するのか。その目に映らない分を研究するには、「信」が必要になると考えるのは私だけであろうか。この「信」を仲立ちにして「科学」と「宗教」は並存しうるものだと思うのである。むしろ、決して無くならないであろう両者がどのような「橋」を架けるのか。そこが今後の人間の大きな課題であることは疑いない。
| 科学 | 18:53 | comments(26) | trackbacks(0) |

最先端技術革新と深まる研究の数々

箇条書き風に。

・遺伝子に変異をもつ個体(変異個体)は、通常の固体にはない特徴や、欠陥をもっている。つまりこの変異個体が何なのかが特定されれば、変異の原因を突き止められることになる。もし、狙った遺伝子に変異をもつ個体を自由に作ることができたら、遺伝子の変異と個体の特徴や欠陥との関係を確実に、そして効率よく調べることができるわけだ。それを可能にした方法が「遺伝子標的法(ジーンターゲティング)」と呼ばれるものだ。この法は、細胞のDNA上にある目的の正常遺伝子を変異遺伝子に置換する方法である。すでに1980年代に2人のアメリカの科学者が開発をしている。

・1977年、神戸大学医学部教授(当時)の西塚泰美博士は、情報の伝達に関与する極めて重要なタンパク質分子を細胞内部に発見した。カルシウム依存性タンパク質リン酸酵素、「Cキナーゼ」である。このCキナーゼの発見は、細胞内の情報伝達の解明に繋がったとされている。細胞は互いに情報をやり取りしているわけであるが、その伝達のシステムを解明するのにCキナーゼの発見は人類に大きく貢献をしたのである。

・今、恐ろしく流行しているHIV(ヒト免疫不全ウイルス=エイズ)を発見した2人の博士もノーベル賞に近いだろう。「レトロウイルス」と呼ばれるウイルスがある。レトロウイルスとは、DNAではなく、RNAを遺伝物質としてもっているウイルスのグループである。レトロウイルスは細胞に感染すると、自分のRNAからDNAをつくり、それを細胞のDNAに組み込んで自らを増殖させる。そのため、ウイルスのDNAを組み込まれた細胞のDNAは変化し、時には細胞がガン化してしまうのだ。ヒトに感染するレトロウイルスを分離したのがアメリカのギャロ博士である。血液中のT細胞をガン化させ、白血病の原因となるそのウイルスは「ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−1)」と名づけられた。1983年から84年にかけて、フランスのモンタニエ博士とギャロ博士によって発見、分離、証明されたのがエイズの原因となるレトロウイルスであった。HIVの発見はその後のエイズ感染経路の解明と予防、エイズ治療薬の開発へ繋がったのである。

・ガンは遺伝子の異常によって起きる病気であることは、現在ではよく知られているが、1970年代にはまだ原因はよくわかっていなかった。アメリカのクヌッドソン博士は「2ヒット説」と呼ばれる発ガンの法則を提唱した。この法則は、ガンが遺伝子の異常によるもので、遺伝子が2度変異を受けるとガンが引き起こされるということを示したものだった。2度の突然変異によって機能を失う遺伝子は、本来ガンを抑制する遺伝子であることを予測し、その遺伝子を「抗ガン遺伝子」と名づけたのである。その後の研究で2ヒット説の正しさが証明され、ガン研究に大いに貢献したことは疑いの無いところである。

・身の回りの自然物を見回すと、複雑に枝分かれした木や、もこもことわきあがる入道雲。正三角形や正方形なら話は簡単だが、現実の自然の造形は複雑極まりないものに見える。そこに法則性を見出そうとしたのがアメリカのマンデルブロー博士である。複雑な自然の造形には共通の特徴がある。幹から分かれた大きな枝には小枝があり、小枝からはさらに小さな枝が出ている。もこもことした入道雲の中のひとかたまりに目をやると、そこにはやはり同じようなかたまりがいくつも見える。つまり全体の一部分を拡大すると、同じような繰り返しのパターンが現れるのである。自己相似性と定義されるこの性質を持つパターンをフラクタル理論と呼ぶ。このような見方は観察力が優れていることはもちろん、物事をミクロだけではなくマクロでも捉えようとする姿勢から生まれるのであろうか。思考の柔軟性が新たな発見を生むのであろう。

・質量がないとされている素粒子「ニュートリノ」に質量があることを確認し、「標準理論」に見直しが迫られた。ニュートリノと言えばこれをカミオカンデを使って捉えた小柴昌俊博士がノーベル賞を受賞したことが記憶に新しい。その教え子にあたる戸塚洋二博士は1998年にニュートリノ振動という現象を観測し、質量があることを示した。これは素粒子理論の基本的な理論である現在の「標準理論」では質量無しとされているのだから、相反する結果となったわけだ。ニュートリノは長距離飛ぶ間に別の種類のニュートリノに変身するのだそうだ。ニュートリノ振動が起きるためには質量が必要になる。2004年6月にはニュートリノ振動はほぼ間違いなく起きていると発表したというから、標準理論の建て直しが迫られることになりそうである。

・物質の基となる素粒子「クォーク」の仲間は6種類ある。「粒子」とその双子である「反粒子」は対になって発生(対生成)し、衝突すると膨大なエネルギーを放出して消える(対消滅)。宇宙誕生直後には対生成、対消滅が繰り返されたと考えられているが、両者の数は同じはずなので宇宙には物質(粒子)は残らないはずだと考えられていた。この謎を解くかぎは、粒子と反粒子の物理法則の違いを示す「CP対称性の破れ」だ。粒子(物質)が残るには破れが必要である。小林誠、益川敏英両博士は6種類のクォークの存在を提唱し、あるクォークが別の「世代」のクォークに変わる「世代混合」によってCPの破れが生ずることを示した。予言どおり新しいクォークは次々と発見され、1995年には6種類が揃ったのである。この理論は素粒子物理学の根幹である「標準理論」の一角を担っている。

我々の日常生活とは縁遠いところで、我々の根幹に関わる研究がひたひたと進んでいる。いくつか端折ってノーベル賞クラスの研究の提示をしてみたが、一見すると何のことを言っているのかもわからない人もいるかと思う。しかし、これらは我々の存在の根幹をなすものが少なくない。人間の起源を探るために、実験マウスが何匹殺されてきたのかわからないが、とにかく「知」の果てまで追いかけている研究者がたくさんいることは知っておいていいと思う。人間の伝染病や、不治の病と言われる難病・奇病の数々、地球そのものを形作ってきた素粒子の謎、宇宙開闢に関する疑問、そして目的と目標の大きさのわりにはほとんどのことの真実を知ることができない人類…。これらの研究をも「すべて人間の想像の造作物でしかない」とする哲学者もいる。これだけ科学技術が発達したように思っても、電子の位置の特定すらできないのが人類である。しかし、電子の位置の特定などは避けながら、電子があるという「効果」を存分に引き出して生活の利便性を向上させているのも人類である。
| 科学 | 08:59 | comments(2) | trackbacks(0) |

時間とは何か

これほど難しいテーマはそうあるものではない。哲学、宇宙論、心理学、生命科学等の諸学問をまたがって存在する、大テーマであることは言うまでもない。哲学者アウグスティヌスは言っている。「時間とは何か?誰も私に問わなければ、私は知っている。しかし、誰かに問われ説明しようとすると、私は知らないのだ。」と。
何故時間は過去から未来に流れるのか?過去には戻ることは出来ないのか?何故、子供の頃の一年間はとても長かったと感じるのか?生物はどのようにして時間を知るのか?どれも難問である。良く人間に努力を課そうとする時に使う言葉として、「時間は誰に大しても平等だ」というのがある。アインシュタインの相対性理論によってこれが違うと知ったときの衝撃は忘れられない。「じゃあ、街や公園に置いてある大きな公共の時計は嘘つきなのか?」と思ったものだ。多くの人の人生では考えもしないことが、事実だといわれてしまう世界である。このように時間にズレがあるという事実から導ける仮想は何か。当然、過去と未来である。同じように時が流れないのであれば、自分に対して誰かが過去に、誰かが未来にいるのである。
いや、すでに「現在」というのが怪しくなってくるではないか。現在っていつだ?こうして文字を入力していても、入力した事実は瞬時に「過去」にならざるを得ない。ことは重大なのである。もっとも、地球上では各人の時間の差と呼べるものは極めて微小なものと言える。いや、ほとんどないと言ってよい。タネを明かせば、時間の差というのは「観測者によって異なっている」のだ。そして時間の差がはっきりと出てくるのは、観測者の認識する対象が「光速」に近づくにつれてであるということなのである。具体的には以下のようなことであろう。
地球に対して光速(秒速約30万キロメートル)の60%のスピードで飛ぶ宇宙船を仮定する。特殊相対性理論によると、この場合、地球から見て宇宙船の中の時計の進み方は20%遅くなる。つまり、地球では1時間が進む間に宇宙船では48分しか経過していないように見えるのだ。宇宙船が光速に近づけば近づくほど時間の進み方はゆっくりとなり、ついにはほとんど止まってしまうのである。さらに光速以上の速度で進むことが出来れば、計算上は時間を逆行して過去へのタイムトラベルが可能になる。しかし、残念なことに通常の物質が加速によって光速以上になることを特殊相対性理論は禁じている。光速に近くなるとエネルギーを投入しても速度が上がりにくくなるのである。

時間(未来)は「来るもの」なのか「行くもの」なのか

「未来」という言葉がある。これは漢字であることは言うまでもないのだが、バラして読むと「未だ来ず」と読める。要するに未来を、言い換えれば時間を「来るもの」としているわけだ。「行くもの」ではないのか。「未行」(未だ行かず)と言ったって意味はおかしくはないはずだ。未来にこだわるというか、「来る」という設定をしたのはやはり漢民族・日本民族等の哲学的・思想的な意味があるのだろう。黙っていても「未来は来る」からなのか。行くとしたら「行動」しなくてはいけないわけだ。黙っていても来るもの。それが時間の正体か?
英語の「Future」はどうだろう。手元の辞書を引くと、「起ころうとすること」が原義とある。これはどういうことか。「時間」というよりかは「出来事」に着目しているのであろうか。英和辞書には当然この「Future」を「未来、将来性」などと訳をしているわけである。日本語に訳をする時には別にそれで構わないが、やはりここでは原義に着目せねばなるまい。それで西洋人の時間の感覚・見方が少しわかるようになるからである。だが、あまりに未来にこだわると英語では少し揶揄したように「Futurist」と呼ばれることもある。「未来もいいけど、現実を見なさいよ」位のけなし方だろうか。

「時間」の考え方は多岐にわたる

物理学では「エントロピー」という概念がある。平たくいえば、「無秩序さの度合い」である。噛み砕けばくだらない内容とも思えるのだが、こういうことである。マージャン牌をジャラジャラやっている状態(無秩序状態)は高エントロピー。で、ゲームを開始するために牌を揃えている状態(秩序状態)は低エントロピー。で、低エントロピーは高エントロピーに向かうという法則があるというのだ。そのようなことは当たり前である。牌の形を維持するのと、バラバラになっているのとでは、バラバラになりやすいに決まっているのだ。これを「エントロピー増大の法則」と呼ぶようである。で、時間の流れは低エントロピーから高エントロピーへ流れるという話なのだ。
さて、時間で一番気になるのは「タイムマシン」の存在であろう。結論から言ってまだまだ「理屈だけ」の状態である。我々現代人はついついドラえもんの世界で、あの「机の引き出しの中のタイムマシンに載って」と考えてしまうのだが、それほど単純ではないのだ。ここではそのこまごまとした理屈を書こうとは思わない。何せ、宇宙空間を捻じ曲げて云々の話など、到底我々には無理な話であるから、SF小説にでも頑張ってもらうしかあるまい。現状としても「タイムマシンの存在=過去に行く」は否定できてしまう。過去にいけるタイムマシンがあるならば、現在は「未来から来る人で溢れているはず」であろうから。そう、人間のサガの一つは「後悔する」ことである。未来に過去に行くタイムマシンがあったなら、後悔した分を取り消しに来る人でこの地球は一杯になっていることであろう。
| 科学 | 02:56 | comments(2) | trackbacks(1) |

ヒトクローン胚の研究

人間のクローン研究については、技術の進歩と倫理の問題が常に衝突する分野と言ってよいであろう。しかし基礎研究に限りヒトクローン胚を使った研究を認める暫定方針が、2004年6月23日に開かれた総合科学技術会議の生命倫理専門調査会において決まってしまった。一方で、クローン人間が生み出されないようにするための規制や、研究に必要な卵子の入手を制限して女性を保護するための制度が出来上がるまではモラトリアム(猶予期間)として研究を控えることとなった。
だが、このヒトクローン胚は医療としては期待の大きなものであることも事実である。それは再生医療への応用である。自分の細胞から臓器や組織を復元できれば、副作用も無ければドナーのようなものも必要がなくなってくる。要するに自分の臓器などのコピーをつくることが出来るわけだが、それはすなわち人間そのもののコピーも作れてしまうことに問題点があるわけだ。あとはクローン胚研究や実用のために卵子が売り買いされる可能性が高いということだ。そうなれば先進諸国が発展途上国の女性から卵子を大量に買い付けるなどのおぞましい行為がなされる可能性がないとは言えない。人間ならやりそうなことであろう。まだ技術が確立されておらずクローンマウスを例にしても2パーセントほどしか成功していないという。しかもその2パーセントも異常が多発しているというから、研究自体も必要なのであろうが、やがてクローン人間の作成も可能になる日が来ることは間違いないだろう。

科(化)学者よ、今こそ歴史に学べ

クローン技術が成功したその時には科(化)学者は、いや、人類は原子爆弾の時のような不可逆な過ちを犯してはならない。科学の結論が人類にどのような問題を引き起こすかを精緻に詰めておいて、万全の対処をしておかねばならないのは言うまでもない。核開発に署名したアインシュタインやマンハッタン計画の中心者オッペンハイマーがいくら後悔したところで広島や長崎の被害者は帰ってくることはないのである。原子爆弾が一瞬にして人間の世界を阿鼻叫喚にし、多量の人命を奪い去ってしまうほどの強力な爆弾であることは作った本人たちが一番理解していたはずである。いくらその後に反戦・平和運動をしたところで引き返せないのだ。今、世界は常に核戦争の危機にさらされている。アインシュタインやオッペンハイマーらは非常に優れた科学者である。そのようなことは誰にでもわかっている。しかし、彼らの残した巨大な課題に人類は未だに答えを出すことが出来ていない。それは今回のこのクローン人間についても同様だ。よく映画や何かでは人間に作られた意思ある人形が、人間に対して反逆を起こしていくというようなストーリーのものがある。この話は今やかなり現実的だ。医療用に作られた人間が逃亡。そして人格と正義を求めて反乱。その時に人類は自らの過ちをまたしても知る、といったようなストーリーができあがりそうだ。
現在の世界に対しては現在の人間には責任は無い。過去の人間の責任である。しかし、未来の世界に対しては現在の人間が責任を負うのである。未来に対し途方も無い大問題を残すことのないように、この問題には取り組んでいかなくてはならないだろう。ES細胞の捏造事件も記憶に新しいが、名誉や功を焦るためにあのような虚偽を発表しているようでは、人間の質そのものが疑問視されてやむを得ない。その位のレベルの倫理観では、ヒトクローンのような重大な人類的課題に臨めるとは今の段階では思えないのである。ヒトクローンの研究以上に、人間そのものの改善・改革が求められていることは言うまでもない。
| 科学 | 04:21 | comments(2) | trackbacks(1) |

世界一の超高層ビル「TAIPEI 101」

世界一の超高層ビル「TAIPEI 101」について所感を述べたい。
508メートル、101階建て。東京タワーの1.5倍の高さのビルと言えばわかりやすいだろうか。これまでの世界一の高さを誇る建造物はマレーシアの「ペトロナスツインタワー」(452メートル)であった。それを50メートルほど更新することになる。しかし、高い!そんなに高くしてどうするのだ?という程、高いのである。その天をも衝く威容は凄まじいの一言である。このビルの設計には日本企業の「熊谷組」が中心となって携わっていると言う。このような大プロジェクトに日本企業が関わっていることは、日本企業の技術の高さを証明するものであることは論を待たない。阪神大震災クラスの地震が来ても、理論上問題ないというのだ。一体どんなビルだ?!人間と言うのはかくも凄いのかという印象を持たざるを得ない。
これほどの高さになると、風ゆれ対策や、地震対策は必須作業になってくる。このビルには「振り子型制震装置」というものが設置される。直径5・5メートル、重さ650トンの鉄球をおもりとした巨大振り子である。建物のゆれには周期があって、その周期でゆれるような振り子を内部に設置すると、ゆれをその振り子に逃がすことが出来るのだと言う。この装置によってゆれは30〜40%ほど抑えられると言うから凄いものである。「東京タワーの上は揺れるよ」と昔に誰かから聞いたことがあった。「建物がゆれるなんて、そんなことあるのか」と子供心に思ったものだが、実際問題としてあるのだなと再認識することができた。
ところで完成間近のものにこんなことを言うのは無粋だが、「このビルいらなくなったらどうするの?」と、ふと考えてしまうのである。ペットボトルの処理にも困る人類。「そんな丈夫なビルを造っていらなくなったらどうするの?」と思わざるを得ないのである。一体何年後までその姿を見ることができるのだろう?100年以上はもつのだろうか?知りたいものである。その処理の方法も。
それから、備え付けられるエレベーターも凄い。このエレベーター時速60キロで動くと言うのだ。しかも昇降中にもエレベーター内に立てたコインが倒れないほど「ゆれ」を感じないと言う。世界のエレベーター技術史では、日本の池袋にある「サンシャイン60」ビルのエレベーター設置が大きな転換期であったと聞いている。この時に造られた技術が現在の基礎になっているようだ。ともあれ、502メートルの建物と言えば上階と下階で気圧も変わってくる。その為、エレベーターの「かご」自体にも気圧差による「耳鳴り防止」の工夫が施されている。ただ、高くすればいいというものではないのは当然だ。物理系の学問も総動員しての対応となっているのであろう。
このビルの建設も何かと障害が立ちはだかったようだ。1999年6月に着工。そのすぐ後に近くの空港からクレームが出た。国内便の空路に支障が出るため大幅に高さを低くするように打診があったと言う。話し合いで大きく迂回路をとってもらうことになったとのことであるが、迂回せざるを得ないほど高いビルなのである。また、2002年3月には記憶に新しい台湾でのマグニチュード7クラスの地震が発生し、ビルにも被害が出て修復等の作業で半年ほどの遅れも出たと言う。それからSARSの影響も大きかったようだ。従業員も総出で「体温検査・マスク着用」などの予防策を講じながらの作業である。それほどの労苦の上になりたっているのがこの「TAIPEI 101」でなのである。
ニューヨークの世界貿易センタービル(WTC)の跡地に800メートル級のビル建設計画、アラブ首長国連邦のドバイに1000メートル級のビル建設が予定されているらしい。まだいずれも着工していないので、しばらくはこのビルが世界一ということになろう。あまりに高い建物はある地点で「絶対に上に伸ばせななくなる」と聞いたことがある。なんでも物理的に地面が沈み込んでしまうらしいのだ。その限界点まで人類は高さを追求し続けるだろう。そんな気がしてならないのであるが、早く海の底の事にもそうした技術が及んで欲しいものだなと考えてしまうのである。
| 科学 | 01:42 | comments(3) | trackbacks(0) |

メンデルの法則

遺伝に関する「メンデルの法則」で、植物が“両親”からそれぞれ受け継いだ性質のうち優勢な一方だけ表れる「優性の法則」の原因の1つを、奈良先端科学技術大学院大の高山誠司教授(細胞間情報学)と東北大などのグループが見つけた。
劣勢な遺伝子が化学変化して働かなくなり、優勢な遺伝子だけが発現する仕組みで、米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(電子版)に30日、発表した。
高山教授らは、カブの仲間の植物で、自分の花粉を受精しないよう見分ける目印となる遺伝子を調べた。すると劣勢な遺伝子で、遺伝子の発現を制御する部分に炭化水素の一種が取り付いて「メチル化」と呼ばれる化学変化が起き、遺伝子の発現を押さえ込んでいた。
優性の法則に関し、これまで一方の遺伝子が壊れているため、もう一方の遺伝子が発現する場合が知られていた。

優劣性の不思議も、もしかすると生物間の争いなのかもしれない。人間も数多い精子の中で勝ち残ったものだけが卵子と結合することが出来る。成体になってからも社会システムでの競争を強いられる。自然科学と社会科学はやはり我々が分析不可能な座で連環しあっているのであろうか。
| 科学 | 13:03 | comments(4) | trackbacks(0) |

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